モリタヤスノブログ3.0

森田泰暢のブログです。福岡大学商学部の教員でヒマラボの代表理事でもあります。思えば遠くへ来たもんだ。

20180721 Xデザイン学校大阪分校BC 第3回ビジネスインタビューに参加

1ヶ月経ちまして第3回。今日はビジネスインタビューがテーマ。
UIなどの狭義のデザイン、UXデザインなどの広義のデザインの前にある経営のデザイン。エンジニアやデザイナーは特にそこが苦手。レイヤーをあげて考える。

今日は、インタビューから企業の現状のビジネスモデル(As-Is)をビジネスモデルキャンバスに落とし込み、そこから当該企業の5年後のビジネスを考える(To-Be)。


WS

今回の対象企業は「有限会社すみれ建築工房」
sumireco.co.jp

地域密着型の工務店でありながら、マーケティング志向を強く持ち、職人起業塾という職人がマネジメント層を目指すための支援も行っている。高橋社長は昨年Xデザイン学校で学ばれていてUXについての関心も深い。

私としても本来できていなければならないはずの顧客が言語化できない要望(インサイト)を設計に反映するのがあやふやなままで感覚に任せて行われている事を改めて実感しましたし、この部分をすみれの設計スタッフでは当たり前に提供できるレベルまで何とか引き上げたいと思った次第。建築設計向けに特化したUXデザインの講座、ワークショップを今回に引き続き開催したいと思います。

建築設計者のためのUXデザイン講座やってみた。 | 職人進化論。

まずは、すみれ建築工房の高橋社長から自社のプレゼンテーション。その後、浅野先生が高橋社長にインタビュー。
私たちはそのインタビュー内容を書き取りながらビジネスモデルキャンバスに落とし込む。自分でインタビューを行った訳でないのでここの難しさはきっとあるだろうけどまだ実感まではできていない。

BMCとCVCA作成

ふんふんと聞きながら、As-IsのBMCを作成。ここはそこまで大きな問題は無い。一応、書きつつ流れも確認しつつ。

そこからTo-Beのアイデアへ。CVCAと合わせて。難しい。。。

職人さんたちが住宅の修理のなかで細かな生活変化に気づけていたこと、設計士の方々のインタビュースキルが高そうであったことから、両者をUXリサーチャーに育てると、職人さんは行動観察のプロ、設計士の方々は高度な専門性を背景に持ったインタビュワーになれそうだと考え、生活空間のUXリサーチカンパニーになってはどうかなという提案でした。リサーチ結果やコンサルティングサービスを車室空間の転換を図る自動車会社、生活空間を押さえたいAmazonGoogle、空間設計のニーズが高そうなVR関連の企業に提供してはどうかなあと。それを「居心地を作るサービス」と表現したが、かえって伝えたいことを伝わりにくくしてしまった。。。

でも何にせよやってみると全然違う。肌感でわかることもある。普段、考えられていないなあ。。。
チームでの議論も、発散的な雰囲気を作り、細かな詰めも大事にしようという意識の共有から始めることができるだけでもっと良くなるなと帰りの新幹線で。とても良いメンバーがいるので、みんなでウワーって話せるといいなあ。2つ目のアイデアが出た時にそっちの検討もバババーっと進めればグッと発展していたかもしれない。2つ目のアイデアまでもっと短時間で進むにはどうしたら良かったかと今も考える。自分自身の考えを先にどんどん話しちゃえば良かったのかも。

講評

4チームの結果としては、まだまだ「工務店」というフレームから出切れていないということ。ゲームチェンジは「生業を変える」こと。そこまでジャンプし切れていなかった。
極端に言えば、これまでのビジネスを破壊してしまうようなところまで考えてみることができたかということ。新しい提案が欲しい、という時に、社長を喜ばせることが目的になってはいけない。社長を驚かせないとですね(もしかしたら怒られるかもしれないけど)。
すみれ工務店さんの特徴をもっとシャープに捉えるべきだった。私は全体をなんとなく捉えながらアイデアを出していたので、BMCやCVCAがぼんやりしてしまう。
良いサービスデザインができている企業はもっとCVCAも書きやすいだろう。「下手くそなCVCAを書く」という体験ができたのは貴重。

他のコメントの中では「ブラックボックスを作らない」「都合の良いCVCAを書かない」は参考になった。
自分のビジネスプロセスを良く見せて、プレゼンで褒めてもらうことが目的ではない。自社がユーザーとどのような関係にある中で、サービスを提供して、どんな会社として存在していくのか。自分たちは何をする会社なのか。

フレーミング

ビアバッシュの終わりに、フィラメントの佐藤さんに「リフレーミングを別の言葉で言い換えるとなんだと思いますか?」と質問。
「他でも使えるってことじゃないかな」と佐藤さん。
サービスデザインが「真実の瞬間」をとらえて、「リフレーミング」する、という意味が少しわかってきたかもしれない。
浅野先生の過去のWSでも、ある場面での観察はするけれども特定の狭い文脈を超えたものを捉えられるかというニュアンスが織り込まれていた。
先日の楽天大学を創られた仲山さんも、「このフレームワークが使えるかどうかは、全く別の場面でも使えるかという想像をして確認するんですよね」と仰られていた。みんな繋がって、私も「違う場面で同じことが言われてるぞ」という体験を。頭で分かるのと身体で分かるのとは違いますねんで。


「文脈に浸かり、文脈から離れ、文脈を作る」


のような感じだろうか。佐藤さんは何で聞かれたらすぐに答えられるんだ・・・すごい・・・。本当に「何でも」「知っている」。

デザイン系の学生なんかは「人と同じことをする」ことに全く価値を見出さないから、常にリフレーミングを求められたりしようとしているというのは面白かったです。確かにそうだ。商学部でも活用しよう。

上記の仲山さんは活用できるフレームワークを一枚ずつスライドにまとめていた。私もそうやって貯めていこう。

今回一緒になったBチームの皆さん。八巻さんからは「ガンガン言うのでガンガン言ってください!」とビアバッシュで。限られた時間でもっとグッと詰めていかないとと改めて今回は感じました。次回は始める時に「ガンガンいこうぜ」の作戦の確認だけして臨むと良さそう。これから同じチームでお願いします!