モリタヤスノブログ3.0

森田泰暢のブログです。福岡大学商学部の教員でヒマラボの代表理事でもあります。思えば遠くへ来たもんだ。

20210407 福岡大学商学部にシチズンサイエンス研究センターを設立しました。

2021年4月1日に、福岡大学商学部シチズンサイエンス研究センターが設立されました。
企画・検討が始まってから半年ほどでしょうか、同僚の教職員の皆さまのサポートにより、先週大学内で正式に承認されました。ご協力いただけた皆さまに感謝申し上げます。

(まだ簡素なページですが、こちらも良くしていきます)
sites.google.com


シチズンサイエンスとは

「職業科学者ではない一般の市民によって行われる科学的活動を指し、学問体系における科学的規範に則った知識生産も包含する、より広範な科学的活動」

とされています。

一定の目的・方法のもとに種々の事象を研究し、その成果としての体系的知識を増やす活動(職業科学者と共同で行う場合も含む)がシチズンサイエンスには含まれ、国際的にも取り組み事例は増えています。

最近では日本学術会議の若手アカデミーからも提言があり、その推進とそのための社会システムの構築の重要性、そして課題について述べられています。
www.scj.go.jp

私の場合は、いわゆる職業研究者でない方が研究や探求する場(もしかすると「愛好」という言葉が適しているのでは?と感じることもありますが)を個人的に作る活動をしてきました。どちらかというと研究よりも実践が先にあります。実践を行う中で、「シチズンサイエンス」という概念に出会い、自身の専門分野とは異なるけれども、この分野の知見が蓄積する場所を作ってみたいと考えていました。

note.com

前述した提言も拝読するなかで、「やりたいこと」であったことが、段々とそれは「やるべきこと」になってきたような。
好奇心という資源を大事にし、国や地域、産業、そして個人の文脈に紐づいた知的生産が行われる文化が醸成できるといいな、というのも妄想から実現に向けて。
もちろん、シチズンサイエンスに強い思いを持って先行的に取り組まれている方々も多くいらっしゃいますので、私自身も学びながら、進めていくつもりです。

本センターの目的は

「地域や企業との連携のもと、市民と研究者との協働による知的生産に関する研究を遂行し、その成果をもって、市民の研究参加を支援する方法の創出と支援基盤の構築を行うことで、シチズンサイエンスの推進に貢献すること」

としています。

そして下記のテーマを始めとした、シチズンサイエンス推進に向けた研究を行ってまいります。

シチズンサイエンスへの参加動機と接続、コミュニティ形成
シチズンサイエンス参加におけるレディネス
・市民研究成果のアーカイブ
・リサーチリテラシー涵養の方法
シチズンサイエンスにおける研究倫理、など

現在は福岡市の「まちづくり市民研究員制度」についての調査を行いつつ、学内外でもこちらの概念に興味を持ってくださる仲間集めをしながら研究計画を立てているところです(一緒に取り組んでくださる方、募集中です。お金は頑張って取りに行きますので、まずお声がけくださいませ)。

シチズンサイエンスの研究についての発信もしていきたいですね。知財や資金の話もしていかないと。

また少し私情もありまして、これまで職業研究者でなくとも研究的な姿勢で取り組まれる方に多く出会ってまいりました。私はそういった方々を見ているのが凄く好きで(研究するより研究者を見るのが好きと言うと怒られてしまうかもしれませんが)。
研究的な姿勢や態度および思考様式を持つ人が増えていくことで、これまでのような出会いが増えることも期待しつつ、職業科学者への前向きな感情も増していくと嬉しいなと考えています。

ということで、ワクワクする気持ちで一杯なのですが、検討すべき要素もものすごく多いです。色々と助けを求めることが増えると思われますが、また引き続きアドバイスやご協力等ぜひお願いいたします。

書きたいことは沢山あるのですが、この辺りで(センター用のblogかnoteかも作ってみるのがいいかなと考えたりです)。