20211231 年末に日南での滞在を振り返り
先日、日南市に訪問してきた。油津商店街に、飫肥に、そして唐揚げ。
田鹿 倫基さんにお会いするのが目的。日南市のマーケティング専門官で、九州地域間連携推進機構株式会社の代表取締役で、とお会いしたい方は大体肩書も所属も複数あってよくわからない。でもこのタイミングで田鹿さんに会うべき、と、心の声が。
qualities.jp
最近太宰府市に入るようになって、そこからつくし青年会議所の皆さんとのご縁もできて、筑紫地区というエリアをどうしていくか考える機会にも恵まれつつある。もちろん、良いエリアにしていくために力になれればと私も考えている。
イベントやって盛り上がる、若者育てる、など各論での企画や実践によって盛り上がることは多くあるとして、俯瞰的に見たときにいまこのエリアが良くなってきているのか、をどう見れば良いのだろう。様々な経済指標等があるのは理解しつつも、それを踏まえて実践されている方のお話を伺いたい。街づくりの「理」の側面を聞きたい。
日南市と言えば木藤さんだったけど、今回はそんな理由から田鹿さん。
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ということで初めての宮崎へ。高速バスで揺られ、JRで油津へ。
Aburatsu Coffeeで田鹿さんから色々とお伺いしまして、
その後飫肥も巡り、
油津で福大飛田ゼミOGの内田さんも交えて、あぶらつ食堂。
活きたEBPMとリサーチマインド
田鹿さんは活きたEBPMができる方、そしてリサーチマインドの塊だった。
EBPMはデータを弄り回すことを目的化してしまいがちである。田鹿さんもデータをひたすら眺めながらああでもないこうでもないと言いながら何かを見つけるのは好きだそうだ。
ただ、田鹿さんはイシュー設定を重要視されている。これがないとデータが活きてこない。
エリア外からの外貨獲得という当初のミッションも本質的でないと感じれば、新たなイシュー設定を試行錯誤する。
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田鹿さんが設定した「人口動態のバランスをよくすること」、というイシューは言葉だけ見れば簡単そうだけど、膨大なデータを眺めるだけでは絶対に見つからない。ここが軸足としてあるので、以降のデータ分析、KLF、具体的な施策に一本の筋が通る。
ただ研究者ももちろんテーマと目的設定をすれば同じような行動をとる。学術的な新規性を目指しながら。
田鹿さんもきわめて研究者的だけども、「活きた」と表現しているのは、新規的な発見だけではなく、データを人がうまく行動できることにも活用していく。市長が行動しやすいように、街の人が動きやすいように、移住する人が気持ちよく来られるように。
この活きたEBPMはリサーチマインドあってのことだ。
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患者さんの一つ一つの言葉を「データ」としてとらえたり、患者さんからいわれた「先生、ありがとう」という言葉を「アウトカム」としてとらえたりしながら、自分の臨床は、自分の判断は本当にイケているのだろうか、と自らに問うことができるようになりました。
私が田鹿さんのことが好きになってしまったのは「地元のおじいちゃんが、日南に戻ってきた家族と一緒にご飯食べて嬉しいんだよと語ってくれた時にやりがいを感じた」と話してくれた時だった。
「地域住民が感じる嬉しさ」なんて数値化できないものを、数値化されたデータ活用の鬼のような田鹿さんが、最終アウトカムに持ってきている。地域の方々とも触れながら、全てをデータととして捉えながら街に住む人々が日々幸せになっているかを問い直している。
私が作っていきたい文化を体現しているのが田鹿さんだった。
会って話せたことも収穫だったけど、田鹿さんというモデルに出会えたことが良かった。リサーチマインドを持った人を増やし、リサーチカルチャーをいかに醸すか。
「理」の側面を聞きに行ったのに、気づけば自分が展開したい方向性の代表格に出会えた。こんなことがあるもんだから、直接お話を聞くのはやめられない。
来年からシチズンサイエンスに力を入れていくのだから、年末の振り返りに日南での出来事を書くのは最適。短いけど良い視察。心の声は正しかった。
このあと、なぜか唐揚げを配りまくる僧侶に会いに行くのだけど、それはまた別のお話として書こう。